渋谷区文化総合センター大和田にて、渋谷区主催事業として定期開催されているイベント『JAZZ@OWADA「SHIBUYA JAZZ CROSSING」』。その2020年シーズンは、ポストコロナの新しい日常の定着に向けて、ご来場の皆様の安全を第一に、状況を判断しながらの開催となっています。
その第一歩として、2020年8月22日に開催された【season18】、RS5pb (Ruike Shinpei 5 piece band)によるライブの模様をお届けします。
感染症拡大防止を徹底した管理体制のなかで行なわれ、ニューノーマル時代の新しい音楽ライブのあり方を模索したチャレンジでもあった本公演。出演した類家心平さんへのショートインタビューとともにお楽しみください。
8月22日(土)@渋谷区文化総合センター大和田
<出演>類家心平/田中“tak”拓也/中嶋錠二/鉄井孝司/吉岡大輔/ゲスト:白石雪妃(書道家)
類家心平 ショートインタビュー
――いわゆるコロナ禍の自粛期間中、ミュージシャンとしての活動はどのように変わりましたか?
今まで、都内を中心としたジャズクラブやライヴハウス、ホール等での演奏が日常でしたが、自粛期間が始まるとオーディエンスの前で演奏するという機会が全く無くなりました。
6月頃からは徐々に生演奏の場が戻って来ましたが、やはりなかなかお客さんが集まらなかったり感染対策を厳重にしたりと、今までとは違うスタンスで取り組まなければなりませんでした。
また、自粛期間中は無観客での配信ライヴや自宅でのレコーディングなどしか出来ず、打ち合わせやラジオ等の収録もリモートで行いました。
その分自身の創作活動や、今後の活動の糧となるものをインプットする時期にもなったのでネガティブな面ばかりでは無かった部分もありました。
――今回の「OWADA SHIBUYA JAZZ CROSSING 5」は、感染症拡大防止対策を徹底しニューノーマル時代の音楽ライブのあり方を模索する取り組みになりました。
僕にとっては自粛期間が明けて最初の有観客による大きなイベントだったので、コロナ禍と共存しながらの新しいコンサートの形というものをこのコンサートで示す事ができたらとても有意義なものになるのではという期待がありました。どうやったらコロナ禍の中で生の演奏を今までのように届けられるか、何を妥協して、何に力を入れれば良いのか。直ぐに答えは出ないとは思いますが少しづつ前に進めればと思いました。
約二ヶ月ほど直接的にオーディエンスの前で演奏するということが無かった上でのこのコンサートだったので、仲間と演奏し自分達の表現を発表できるという事への喜びを改めて感じる部分は大きかったです。また書家の白石雪妃さんとのコラボレーションもあり多角的な表現が出来たのはとても嬉しかったです。
――これからの時代に、ミュージシャンに出来ることとはどんなことだと考えますか?
生演奏と配信を組み合わせて、その場に来れる方にも来れない方にも音や映像を届けたり、感染予防対策を徹底するということは今ではもうあちこちで行われていて、そういう事が今後スタンダードになってくるのかもなぁと思ったりもします。
また、そんななかミュージシャンがやるべき事は、自身の作品や表現の可能性を信じてそのクオリティーを粛々と上げていくという事しかないんだろうなと思います。
それと、大事なのはやはり差別や偏見を無くしていくという意識だと思います。感染症なんていうものは誰しもがかかってしまうリスクを持っているものなので、決して感染した方を責めるような事があってはならないと思います。そのようなメッセージを発信していく事も、ミュージシャンだからという訳ではなく一人の人間として、大切にしていけたらと思います。
言葉が発生する以前から存在していた「踊り」や「音楽」は、そんなに簡単に無くなるわけはないので、医療従事者の方々にリスペクトを払いつつ、新しいやり方を見つけていけたらと思います。
出来る限りの感染予防対策をして、その場の空気と時間を共有出来る尊さを何とか守っていけたらと思います。