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2020.07.27
エンタメ、ファッション、飲食、理美容の代表者が語った「With/Afterコロナ時代の渋谷カルチャーの今後」
宇川直宏/松井智則/楠本修二郎/高木琢也/Naz Chris
7月21日(火)に行われた「YOU MAKE SHIBUYA クラウドファンディング」のメディア向け説明会、その第二部として行われたパネルディスカッションの様子をレポート。
<登壇>
現在美術家・DOMMUNE 代表 宇川直宏さん
株式会社ワンオー 代表取締役 松井智則さん
カフェ・カンパニー株式会社 代表取締役社長 楠本修二郎さん
OCEAN TOKYO 代表取締役 高木琢也さん
DJ/J-WAVEナビゲーター Naz Chrisさん
ファシリテーター:一般社団法人渋谷未来デザイン 長田新子
DOMMUNE 宇川直宏さん
このトークでは、まずコロナ禍による業界特有の影響や課題がテーマに。
宇川さんは「自粛を余儀なくされたエンタメ業界はオンラインでの活動を強いられた。全てオンラインを通じたコミュニケーションに変わり、身体性を持つフィジカルなものが漂白された。渋谷は日本を背負うコミュニケーションの場であったが、今後はその立て直しが必要。今後はいかに身体性を持つコミュニケーションを立て直していくかが重要になってくる」と語りました。
株式会社ワンオー 松井智則さん
「ファション業界では大手のセレクトショップなどが営業を自粛したことで、在庫が消化できず、若いデザイナーやクリエイターにも次のシーズンのアイテムを買い付けてもらえないということが起きた。コロナの影響が続くことで次のシーズン以降の懸念がある」と松井さん。
高木さんは「3月の自粛により、東京に新学期から上京してくる学生たちが髪を切る機会が損なわれた。理美容業界としての大ダメージはそこが大きかった」、ナズ・クリスさんは「ライブハウスやクラブのようなカルチャーをつなげる場がコロナ禍によって自粛せざるを得なくなり、対策としてのエンタメのオンライン化によってマネタイズしていくことが従来と比べて難しくなった。そういった苦境にアーティストや実演家が立たされているが、こういう時だからこそ、アーティストや業界の裏方が自分たちの権利を発信する機会が与えられたことは印象的だった」と語りました。
カフェ・カンパニー株式会社 楠本修二郎さん
楠本さんは、「飲食業界では4、5月に比べて、6月は回復傾向だったが、最近の感染情況で今月はまた厳しくなった。今後しばらくはそういった浮き沈みが起こるはず。それに心が折れないようにしたい。飲食店は会話のモデレーターで、音楽はBGM、髪やファッションは気分をあげてくれるというように渋谷のカルチャーは全てが連動しながら成り立っている。今後はそれを盛り上げていきたい」と続けました。
また今後に向けての取り組みに関して宇川さんは
「人間にはこれまでにもウイルスとパンデミックにつきあってきた歴史がある。今回のパンデミックをきっかけに今後は、いかに新しいプラットフォーム、エコシステムを作っていくかが重要になってくる」と語り、
ナズ・クリスさんは「アーティストたちの収入はこの3ヶ月間ゼロ。多様な人が集まる渋谷で収入がゼロになる人が生まれるということははどこかで誰かにしわ寄せがきている。そういった現状を変えるためにロビーイングに取り組んでいるが、現状、アーティストたちが助成金をもらうためにはハードルが高い。そのハードルを下げるためにもそういった文化を理解している人が作るプラットフォームが必要。声をあげなければどこからも見つけてもらえないので、自分たちが代弁する必要がある」と続けました。
DJ/J-WAVEナビゲーター Naz Chrisさん
「渋谷原宿フェスティバルを運営してきたが、このタイミングではそれができないとなれば、それをEC化して国内外の人が見て触れるものを作れないかと思い、今、それを開発中だ」と松井さんが語る一方、
高木さんは「美容室はお客さんの髪を目の前で切るしかない。安心と安全を確保しながら新しいを渋谷の街でどうやって作っていくのか? がこれからより大切になってくる。これからのカルチャーを担う若者の間で人気TikTokやSNSでも渋谷は背景としてすごく大事されていて、若者文化に馴染んでいる。そのためにも街に来たいと思ってもらえるような街づくりが必要で、自分たちの業界としては街に来てもらうためにも安全性を確保することに取り組んでいる」と語りました。
OCEAN TOKYO 高木琢也さん
また楠本さんは「渋谷は色々な文化の結節点が多い。文化が溜まって発酵して醸成されているのが、渋谷という街であり、それをどう表現していくかが大事なのだが、コロナ禍によってそのやり方がわからなくなった。今後のやり方のひとつはデジタル化だと思うが、それだけでは足りないと感じている。ただ、それに関してはまだ世界中で模索されている部分でもあるので、渋谷が世界に先駆けてやっていくのは面白いと思う。飲食店や美容室はリアルの現場でしか成立しないが、デジタル化可能な他の分野とどうやって行ったり来たりを実現していくのかがこれからの街の課題。それと今までは儲かるか儲からないかがKPIになっていたが、これからは未来が見えるということがKPIになってくるのでは?」と語りました。
その後、「YOU MAKE SHIBUYA クラウドファンディング」に関しては、
「みんなでアイデアを出し合う必要があり、色々な業種の人と力をあわせてみんなで渋谷の未来を作っていきたい」、「いかに渋谷に自己投影できるようになるのかが大事。みんなで作る渋谷の”みんな”が全国に広がっていくように考えていかなければならない」、「答えがなくなった時代でみんなで作っていく時代の渋谷だからこそ、クレイジーでビッグピクチャーなものを作っていくようにしたほうがいい。渋谷区がデジタルトランスメーションとトランジションを徹底的に掘り下げるような自治区になるくらいになれば」というような意見が交わされ、パネルディスカッションは終了しました。
実行委員長
大西賢治
渋谷区商店会連合会 会長
不要不急の外出の自粛など、皆さんの協力のおかげで最大の危機を乗り越えることができたと感謝しております。しかしながら、カルチャーの発信地でもある渋谷を支える多くの商業や産業は、いまだ大きなダメージを受けています。事業者の方々はこの先に不安を抱きながらも、日々努力と工夫を重ねながら事業を存続できるように頑張っています。みなさんが、安心して渋谷を訪れ、安全に楽しめる街になり、渋谷の街が元気を取り戻すことで、渋谷だけではなく全国の商店会も活気が出ると思っています。渋谷を愛する皆さんのお力をぜひお貸しください。