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2020.08.12
様々な人が来る、カッコいい街・渋谷。仲間の店でご飯を食べて!
上嶋祥吾(ウーピーゴールドバーガー)
こじんまりとした店内はカウンター席のみ、外のテラス席も6人座ればいっぱいになってしまう。そんなハンバーガー・ショップ「ウーピーゴールドバーガー」には、昼夜問わずサラリーマンから学生、バンドマンまで様々な人が全国から集まってくる。肉汁が溢れ出すほどボリューミーなハンバーガーやサクサクのフライドポテト、世界各国の瓶ビールが楽しめるこのお店は、知る人ぞ知る渋谷の名物スポットだ。もともとは中目黒のバーで、不定期にハンバーガーを提供していたという店長の上嶋さん。宮益坂を少し入った一角でお店を切り盛りする彼は、コロナ禍の渋谷をどのような思いで見つめているのだろうか。
取材・テキスト:黒田隆憲 / 写真:天田輔
YOU MAKE SHIBUYA連載企画「渋谷のこれまでとこれから」
新型コロナウイルスの影響で激動する2020年の視点から、「渋谷のこれまでとこれから」を考え、ドキュメントする連載企画。YOU MAKE SHIBUYA クラウドファンディングとCINRA.NETが、様々な立場や視点をお持ちの方々に取材を行い、改めて渋谷の魅力や価値を語っていただくと共に、コロナ以降の渋谷について考え、その想いを発信していきます。
──「ウーピーゴールドバーガー」という名前がまずインパクトありますよね?
上嶋:ハンバーガーもスタッフも、お店自体も少しクセがあると思うんですけど、「渋谷のアンダーグラウンド」って感じで面白いんじゃないかなあと思っています。僕の地元、十勝のベーコンを使った「ケビンベーコン」というベーコンチーズバーガーがお勧めのメニューなんですが、味はもちろん名前が特に気に入っていますね。
──(笑)。なぜ渋谷を選んだのですか?
上嶋:「絶対に渋谷」と決めていたわけじゃなくて、たまたま今の場所に決まったんです。それまでは中目黒のとあるバーを、昼間だけ間借りさせてもらってやっていましたが、その時の売上は1日1個とか……見事に売れてなかったですね(笑)。でも渋谷に移ってからは、色んな人たちが入り混じったこの街ならではの土地柄と、SNSの発達のおかげで順調です。
──お客様との何か印象深いエピソードなどありますか?
上嶋:本当に様々な人が来るんですよ。特に記憶に残っているのは、確か富山から来たのだったかな、中学校の修学旅行生でカウンターが埋まったことがあって。しかも全員制服。
「どうやってウチ見つけたの?」と訊いたら「食べログ」って答えてて、「現代の子たちはそうなのかあ(笑)」ってなったことですね。
──渋谷でお店を営業されている中で気づいた、渋谷のいいところや好きなところというと?
上嶋:僕の友人やウーピーで知り合った人たちは、音楽やアート、ファッション、飲食の分野で活動している人が多くて。もともとそういうカルチャーが好きだったので、そのすべての人たちから様々な刺激をもらってきました。
僕がドラムを担当する「THE RESTROOMS」というバンド(ボーカルが母になったので一旦活動休止中)もその一つですね。
──渋谷で好きなお店はありますか?
上嶋:「beat cafe」。お店自体も最高にカッコいいんですが、なんと言ってもスタッフのカトマンさんが最高です。渋谷で飲むこと自体があまりないのですが、渋谷で飲んだら必ず寄るお店です。
──新型コロナウイルスの影響で、多くの困難を経験されたと思います。ここまでの状況はどのようなものでしたか?
上嶋:ウーピーはハンバーガー屋ということもあり、緊急事態宣言中も主にデリバリーやテイクアウトで営業していました。ですが、売り上げは普段の半分以下まで落ち込みました。7月に入りようやく8割くらいまで回復したところです。
これまではあまりSNSを使って積極的に宣伝することはなかったのですが、例えば食べてるところ自撮りするなど、これを機にやるようになりました。
──Instagramを拝見したところ、PVCコンビニエンスバッグとグラスを販売されていましたよね。
上嶋:過去にトートバッグとTシャツを販売したことはあって、物販を継続して定期的にやりたい気持ちはあったのですがめんどくさがりなので、それっきりになっていました。で、コロナで時間ができたので「よし、やるぞ!」って(笑)。そういうことも含め、お店のことを色々考える時間が出来たので、そこで思いついたことなどを今後も出していけたらなと思っています。
──特に困っていらっしゃること、そしてその解決のために必要なサポートで期待されていることはありますか?
上嶋:特に困っていることはないですが、なるべく知り合いや友人の店で飲食するとかしてもらえると、僕らみたいなお店は助かります!
──今回の出来事で、渋谷の文化にはどのような変化があると思われますか?
上嶋:このままいけばハロウィンが確実になくなると思いますね。ハロウィンに関してはそのまま消え去ってほしい一過性の文化であったし、そうなってほしいです。
──(笑)。守りたい渋谷の魅力や、その理由を最後に教えてください。
上嶋:ハロウィンで浮かれてくる人以外が「楽しいなーっ」って思える街であってほしいと願います。なぜなら、そういうかっこいい街だからです。
■INFORMATION
ウーピーゴールドバーガー
東京都渋谷区渋谷1-9-4 トーカンキャステール渋谷
営業時間(変更中)11:30〜20:30 ラストオーダー
https://www.instagram.com/w_p_g_b/
実行委員長
大西賢治
渋谷区商店会連合会 会長
不要不急の外出の自粛など、皆さんの協力のおかげで最大の危機を乗り越えることができたと感謝しております。しかしながら、カルチャーの発信地でもある渋谷を支える多くの商業や産業は、いまだ大きなダメージを受けています。事業者の方々はこの先に不安を抱きながらも、日々努力と工夫を重ねながら事業を存続できるように頑張っています。みなさんが、安心して渋谷を訪れ、安全に楽しめる街になり、渋谷の街が元気を取り戻すことで、渋谷だけではなく全国の商店会も活気が出ると思っています。渋谷を愛する皆さんのお力をぜひお貸しください。