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2020.09.03

渋谷のギャルは本当に“絶滅危惧種”か? 時代とともに変化してこそのギャル“文化”

林装太, あやてぃむ(ギャルカフェ 10sion)

渋谷センター街の、とあるビル7階。その店の存在を知る人にとっては、前を通りかかるだけでも、そこからただならぬエネルギーが漂い出ているような気がしてしまうことだろう。「ギャルカフェ 10sion」—その名の通り、ギャルの方々がテンション高く迎え入れてくれるこのお店。しかしふと見方を変えると、ここ渋谷においていまや希少になりつつあるギャル文化の存在意義を声高に叫び続ける、いわば“カルチャーの砦”であり、そこで自身のスタイルを貫き通す皆さんにとっての《渋谷》とは、どんな場所なのか、ぜひ訊いてみたいと思い、オーナーの林さん、そして店長のあやてぃむさんに話を伺った。

取材・テキスト・写真:天田輔

 


YOU MAKE SHIBUYA連載企画「渋谷のこれまでとこれから」
新型コロナウイルスの影響で激動する2020年の視点から、「渋谷のこれまでとこれから」を考え、ドキュメントする連載企画。YOU MAKE SHIBUYA クラウドファンディングとCINRA.NETが、様々な立場や視点をお持ちの方々に取材を行い、改めて渋谷の魅力や価値を語っていただくと共に、コロナ以降の渋谷について考え、その想いを発信していきます。


──店長のあやてぃむさんから見て、ここはどんなお店ですか?

あやてぃむ:私はここで3年間働いていて、店長になって2年目です。

このお店で働くスタッフは、“ギャルを代表している”という自覚が全員にあって、私はいつもギャルやギャル文化の良いイメージをお客さんたちに伝えたいと思っています。

このお店の魅力を体験してもらって「ギャルと仲良くなれた!」と喜んでもらえたらとても嬉しいです。

──“ギャルの代表”である皆さんにとって、渋谷はどんな意味のある街ですか?

あやてぃむ:小学生の時、ママと初めてSHIBUYA109へ行ってショップ店員さんを見て「本物のギャルだ!かっこいい!」って衝撃を受けたのは今でも忘れられません。

その後、ギャルカフェに入店する以前も17歳の頃から渋谷で働いて、職場や街のいろんな場所で自由に自己表現している人たちにたくさん出会いました。だから「私も自分の好きなことをして生きていこう!」と思えたのは、渋谷の街のおかげだと思っています。

──オーナーである林さんからは、渋谷とギャル文化の関係はどんなふうに見えていますか?

林:この店がオープンしてから現在までの9年間は、まさにギャルが“身近な存在”から“希少な存在”に変化していった時代で、渋谷の街を見ていてもそれは感じられました。当店のスタッフも今ではよく「絶滅危惧種」と言われてしまいます。

しかし「若い女性たちが自由に生活を謳歌する」というハッピーな土壌と、そこから生まれたものたちが“ギャル文化”なのだとすると、形を変えながら今も“ギャル文化”は日々進行しているのだと思います。

ギャルとは、かつては「ファッション」のひとつであったものですが、今の10代後半から20代の女性たちを見ていると、ギャルは「生き方」であると言える時代になったんだと感じます。

彼女たちが自由であるからこそ新しいものが生まれ、変化するからこそ文化として面白いと思うので、これからも大人が既成の価値観を押し付けることなく、見守っていきたいと思っています。

あやてぃむ:お店には幅広い世代の方が来てくれます。「ギャル」って言葉はもう半世紀近くも使われているらしく、お客様の世代によって「ギャルってこうだよ!」っていう“ギャル感”がバラバラで驚くし、面白いんです。

特にテレビや雑誌でギャルが流行っていた頃の人たちは「最近のギャルはなってない!」とか「ギャルはこうじゃないと!」とすごくこだわりを持っていて、お説教される事もありますが、最終的に仲良くなれちゃうのが不思議です。そしてそれは渋谷の街のちからによるところもあると思っています。

ギャル文化について世代を超えて話し合えるのは、それぞれが思う“ギャル”が違っても、おんなじ“渋谷”という場所にみんなの思い出が詰まってるから。それってすごく素敵なことだなと思います。

──変化するからこそギャル文化は“文化”だし、たとえ変化しても世代を超えて“渋谷”という街を共有している、と。

林:渋谷という街自体、常に変化をともなう街です。

“不確定さ”を好まない人もいると思いますが、この街の変化は私にとっては毎日を彩る“豊かさ”に感じられて、その期待感をいつも持って生活できるのが、僕が渋谷を好きな理由です。

渋谷の変化と変わらないもの、ということでいうと、渋谷から生まれるカルチャーは時代とともに変化すれど、それが生まれる発端はいつも、熱量の高い人たちがこの街で交差することからだという点はずっと変わりません。

──人が交差しなければ、カルチャーは生まれないですね。

林:以前ドバイの街を訪れたとき、「9割が外国人」という人口構成を聞いて驚くとともに、未来の渋谷を想像する機会になりました。渋谷は区外から仕事・遊び・買い物など様々な目的の人々を交差させてきた街。それを活かしてもっと世界へ影響力を広げていける街だと思います。

コロナ禍でいわゆる“夜の街”がクローズアップされましたが、営業時間や業種に関わらず、安全を保ちながらも“自由に交流できる場がいつもある”という事が渋谷の魅力だと感じます。そんな“場”をこれからも継続していくのが本当に困難な状況ですが、なんとか支えあって“人が交差する街”であり続ければ、渋谷はいつまでもワクワクする街でいられると信じています。

──渋谷の街で多種多様な人たちが交差するということはずっと変わらないけれど、そんな多様な人たちが、いま互いに支え合うという意識が必要になっている。

あやてぃむ:自粛モードが続いていて、いろいろと我慢しなきゃいけない事も多いなかで、それでもお店に来てくれたり、応援してくれる人がたくさんいることに驚きました。いまは時間もお金も仕事もお客様も…普段より「すごい大切なんだ」って感じています。

支えてもらえるってこういうことなんだな。恩返ししなきゃ!って、普段気付けなかったことに気付きました。

──そんないま、渋谷の街に求めることとは、なんでしょう?

あやてぃむ:ギャルもオトナも、遠くから来た人も…年齢や仕事、ファッションや感覚、考え方が違っても、余裕をもって仲良くできる街であって欲しいです。人をカテゴリーで分けてもいいことなんかないし、楽しいほうが絶対にいいじゃん!って思います。

 

 

■INFORMATION

ギャルカフェ 10sion
東京都渋谷区宇田川町13-9 KN渋谷2ビル7F
営業時間 20:00〜翌5:00
https://www.galcafe.tokyo

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