ARTICLE

2020.09.06

フレンチシェフが代々木上原に灯す居酒屋「LANTERNE」の今

丸山智博(株式会社cherche代表)

ゆったりとしたローカルの空気感がありながら、洗練されたショップやレストランが立ち並ぶ代々木上原エリアに、その名の通りパッと灯るように存在する「LANTERNE」。
ビストロ「MAISON CINQUANTECINQ」、カジュアルフレンチ「AELU」など、このエリアでフレンチを基軸とした人気飲食店を展開する株式会社シェルシュが2014年にオープンさせた居酒屋だ。
料理とお酒、そして人が生み出す食の空間。新型コロナウイルス感染症の影響で居酒屋という場所に人々が集うことが難しくなってしまった昨今、LANTERNEはどのようにしてこの期間を過ごしているのだろう。代々木上原という土地について、そして食を通して伝えたいことについて、シェルシュ代表兼エグゼクティブシェフの丸山智博に聞いた。

取材・テキスト:飯嶋藍子 / 写真:天田輔

 


YOU MAKE SHIBUYA連載企画「渋谷のこれまでとこれから」
新型コロナウイルスの影響で激動する2020年の視点から、「渋谷のこれまでとこれから」を考え、ドキュメントする連載企画。YOU MAKE SHIBUYA クラウドファンディングとCINRA.NETが、様々な立場や視点をお持ちの方々に取材を行い、改めて渋谷の魅力や価値を語っていただくと共に、コロナ以降の渋谷について考え、その想いを発信していきます。


 

—まず、LANTERNEはどのような場所なのでしょうか?

丸山:店名の通り、街に灯った「提灯」に各々の目的で集い、肴やお酒を楽しむ場所です。名物のから揚げをはじめとした定番の居酒屋料理を中心に、様々な国の食文化からインスピレーションを受けランタン風にアレンジした料理を揃えています。古き伝統や、文化、新しい波にアンテナをはりつつ、最終的にはLANTERNEのフィルターを通して日本人として文化伝承と居酒屋の新しい価値を生み出す役割を担って行くお店でありたいと思っています。

ビルの地下にあるLANTERNE。地上の入り口には提灯が。

 

—代々木上原というエリアにお店を構えたのはなぜだったのですか?

丸山:系列店のMAISON CINQUANTECINQの近くに偶然空いた物件があり、そこに魅力を感じ開業したのが始まりです。そして、この街と生活していく中で、自分たちがここにどんな飲食店があれば嬉しいかを突き詰めてLANTERNEを考案していきました。顧客様も価値観の近い方々が多かったので、新しい挑戦を受け入れてもらえて感謝しています。周囲にもいいお店が増えてきて、街全体をブランディングしていけたことが良かったなと思っています。

—どんなお客様が多いのでしょう?

丸山:老若男女、様々なお客様に来ていただいています。これは私たちの願いでもあるので嬉しく思っています。コロナ以降は情報取得が早い若い方が多い傾向にありますが、遠方からずっと来たかったとおっしゃっていただく際は、やはり嬉しいですね。神戸でLANTERNEに憧れて起業した青年に会った時も照れましたが、地元で繁盛されているようで嬉しかったです。いつでも前を走っていく意思も固まりました。

—人が動く原動力になっているお店であること、すごいと思います。そんなLANTERNEのフードやドリンク、空間のこだわりはなんですか?

丸山:フードなど商品の基本的な考え方は系列店のMAISON CINQUANTECINQ、AELUと同じで、美味しい料理とサービス、空間で笑顔になっていただくということを念頭に置いています。その中で技法や適正価格は店舗ごとに異なっていたり、業態でスタイルの違いはありますが、カジュアルにサービスしたいという思いはLANTERNEも一緒です。

特にLANTERNEの空間は、厨房の活気とゲストが一緒に良い酒場のグルーヴを生み出せればいいなと思い、極力客席と厨房が一体になるように心がけて作りました。ビックテーブルを象徴的に配置し、大勢で食卓を囲むときの楽しさを表現していて、適度な緊張感とリラックスの加減にも配慮した空間づくりをしています。最初は少し緊張していても、徐々に自分のスペースとして楽しんでいただければ嬉しいです。

—今年は新型コロナウイルス感染症感染拡大のために、飲食店の皆さんはとても多くの困難を経験されていると思いますが、LANTERNEにはどういう影響がありましたか?

丸山:従業員と家族の感染リスクを極力低下するためにできる限り休業をしたのですが、休業期間が長く、固定費で今までは考えられなかったほどのお金を失いました。しかし金銭的なマイナスは4月の時点で覚悟はできていましたし、すぐに準備もできたのでこの期間の目標はチームの団結力向上としたんです。結果として今も同じ目標にむかっていることができていますし、結束力も強くなりました。

—困難の時期にスタッフ間の結束力向上という方向にシフトした決断は素直にすごいなと思います。お客様に対してのアクションはなにかされましたか?

丸山:できる範囲でテイクアウトを行い、顧客様にchercheが元気だというメッセージを発信するなどしていました。こういった状況が続いていますが、立ち止まる時と進む時の選択をしっかりと見極め、自分たちらしく美味しくて楽しい店を続けて行きたいと思っています。

手指消毒液を置くなどお客さんにも感染対策の協力を仰ぐ。

 

—前述のとおり、ここ代々木上原エリアに3つのお店を構える丸山さんですが、ここで過ごしている中で感じる渋谷区の魅力や刺激を受けたことなどがあれば教えてください。

丸山:渋谷では若い人たちのエネルギーから「今」を感じることができて、大きな刺激となっています。物知りな先輩も、同調できる同世代も、衝動で突き動かされている若い世代も、僕にとって全てが大切な存在です。

—今回の出来事で渋谷の文化にはどのような変化があると思いますか?

丸山:渋谷の文化に直結するような変化があるとは現時点では思っていません。新しいものは新鮮で刺激的な一面もありますが、お店としてはローカルのいい雰囲気をキープできたらいいなと思います。代々木上原というエリアは、あくまでも住みやすい街でいてもらいたいです。消費されていくだけの街や、金太郎飴みたいな街にはなってもらいたくないので、僕たちは食を通じてできることを追求していきます。

 

■INFORMATION

LANTERNE Yoyogi Uehara
東京都渋谷区西原3丁目5-3 ルネ代々木上原B1F
TEL:03-6407-1863
営業時間:17:00〜22:00(21:00L.O / TAKE OUTも可)
*2020.9月現在
定休日:日曜日

[TAKE OUT]
「名物 鶏のから揚げ弁当」
販売時間:12:00〜14:00
*2020.9月現在
定休日:日曜日
※予約のみ対応。

https://www.chercheinc.jp/

COMMENT

YOU MAKE SHIIBUYA クラウドファンディング
実行委員会

  • 渋谷区
  • 渋谷区商店連合会
  • 一般財団法人渋谷区観光協会
  • 一般財団法人渋谷未来デザイン

パートナー

  • CAMPFIRE

特別協力

  • 渋谷5Gエンターテイメントプロジェクト

CONTACT

※お名前、電話番号をお書き添えのうえ、内容をできる限り具体的にご記入願います。